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広告クリエイティブ最適化のためのABテストの実施方法
公開日:2024.08.30 Fri / 更新日:2024.08.30 Fri
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GDNやMeta広告等のディスプレイ広告やSNS広告を運用する際、運用効果を高めるのにインパクトが大きい施策が広告クリエイティブの改善です。
実際にディスプレイ広告を運用しているものの、広告クリエイティブの改善方法がわからない、あまり効果検証できていないという方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は広告クリエイティブを最適化するにあたって効果的なABテストの進め方についてご紹介します。
ABテストとは?
広告クリエイティブや広告テキスト、LPの要素等の最適化をするために実施するテストのことです。
予め検証したいポイントを定めて、複数パターン(Aパターン、Bパターン等)を作成し、同時に配信することでパターン間の結果の差を確認し、評価をしていきます。
ABテストという名称ですが、3パターン以上で検証することもあります。
より多くのパターンを組み合わせて検証する多変量テストというテスト手法もあります。
例えば、サイズが2パターン、色が3パターン、背景写真が4パターンの場合、2×3×4で24通りのパターンを配信して最適な組み合わせを検証します。
多変量テストは複数のポイントを同時に検証できるものの、その分パターン数が多くなる為、配信量が充分に担保できないと結果の差が確認できず検証に至らない場合があります。
配信ボリュームや予算、検証したい内容にあわせて最適なテスト方法を選択するようにしましょう。
ABテストのメリット
ABテストのメリットとしては下記が挙げられます。
■工数が少なく、手軽に始められる
ABテストはキャッチコピーや色変更等、部分的な変更で検証できる為、テストにかかる工数が少なく導入しやすいテストです。
■少ないコストで実行できる
ABテストは上記で挙げたように部分的な変更で実施出来る為、変更に際する制作コストが少なく済むケースが多く、また検証に必要な配信量も多変量テストと比べて少なく済むので少ないコストで実行することができます。
広告クリエイティブでABテストを実施するにあたっての留意点
ABテストを実施する際は、予め下記のポイントに留意して設計するようにしましょう。
■検証したいポイントを明確にする
まずは何を検証したいのか検証したいポイントを予め整理しましょう。 例えば下記のような検証ポイントが考えられます。
・訴求軸の検証
訴求する内容の違うクリエイティブをそれぞれ作成し、どちらの訴求内容の方がユーザーの引きがあるか検証する
・色の検証
デザインは同一で色のみ変更し、どちらの色の方が引きがあるか検証する
■検証ポイントを同時に複数設定しない
ABテストを実施する際は、同時に複数個所を変更してしまうと、結局どこの影響で結果に差がでたのかわかりづらくなってしまいます。 一度に検証するポイントは1つに絞るのがおすすめです。
■母数の確保
ABテストは検証ポイントが少ない為、比較的少ない配信量で有意な差がつくテストですが、あまりに配信量が少ないと差がでないこともあるので一定の配信母数は担保するようにしましょう。
■比較条件を揃える(同一ターゲットで検証する)
例えば①のクリエイティブはAというターゲット、②のクリエイティブはBというターゲットに配信するという形で実施してしまうと、結果を検証する際に①と②のクリエイティブの内容による差なのか、AとBというターゲットによる差なのかわかりづらくなってしまします。 ABテストを実施する際は同一のターゲット上で実施するようにしましょう。
広告クリエイティブのABテストの進め方
ABテストの効果的な進め方は下記の流れとなります。
①目的の設定
ABテストで重要なのが最初に目的を明確にすることです。 その為に、現状の数値を分析し、どこに課題感があるのか洗い出しをしましょう。
例えば、CV目標が「会員登録」で現在の登録件数が頭打ちになっている状況だとします。今までのクリエイティブ(訴求)では目標とする登録数にまで達しない場合、新しい訴求を増やして登録数の底上げをする必要があります。
この場合の課題は「登録数が頭打ちになっている状況」、目的としては「登録数底上げの為の新しい訴求軸の検証」になります。
②仮説の設定
課題と目的を明確にしたら、次はその課題に対する仮説を立てます。 仮説を立てる際はユーザー目線で考えることが重要です。また、過去の広告の実績値やLPのヒートマップ等のデータも活用しましょう。
例えば新しい訴求軸を検証したい場合、リスティング広告でCTRの高いキャッチコピーやパフォーマンスの高いKW、LPで熟読されている箇所等からユーザーのニーズを推察します。
- 例)
今まで価格の優位性を広告クリエイティブで訴求してきたが、LPのヒートマップでは納期の箇所がよく見られている(ファクト)
→価格より納期の方を気にされているユーザーが多いのでは?納期の優位性を訴求する方がCVRが伸びる?(仮説)
またこの段階で複数の仮説が挙がってきた場合には、どの仮説から検証していくか優先順位も決めておくとスムーズです。
③テスト実施
仮説からテストするポイントが決まったらクリエイティブに落とし込み実行します。 クリエイティブに落とし込む際は、1つのクリエイティブに訴求ポイントを複数掲載してしまうと、結局どの訴求に引きがあったのかわかりづらくなってしまう為、検証したいポイントのみ反映するようにしましょう。
④結果分析
テスト結果が出たら、その結果を次の改善策に落とし込みます。 例えば、下記のような結果が得られた場合、テストで優位だった訴求軸で別LPを制作する、リスティングで優位の訴求軸に合ったKWを追加する等を検討しましょう。
- 例)
A:今まで配信していた訴求軸のクリエイティブ「価格訴求」
B:新たに検証していた訴求軸のクリエイティブ「納期」
ABテストの結果、CTR・CVRともBの方がよかった
→新たに「納期訴求」をファーストビューに打ち出したLPを新設して配信を検討してみる。また、リスティングでも納期訴求に合ったKWやTDを追加する。
広告クリエイティブのABテストの結果検証のポイント
ABテストの結果を検証する際は、その広告の配信目的に合ったポイントで分析するようにしましょう。
■認知施策の場合
認知施策のKPIとしては下記に挙げたような広告に対してどのようなアクションがあったかを見るのが一般的です。
・CPM(Cost per Mille):広告インプレッション1,000回あたりのコスト
・CTR(Click Through Rate):広告が表示された回数に対するクリックされた割合
・CPC(Cost Per Click):広告1クリックあたりの単価
SNS広告の場合は上記に加えて、いいね数やシェア数、コメント数などのエンゲージメントの数値の分析も参考になります。
■獲得施策の場合
獲得施策のKPIとしては下記に挙げたような獲得に関してどのようなアクションがあったかを見るのが一般的です。
・CPA(Cost Per Action):1獲得あたりの単価
・CVR(Conversion Rate):獲得率
・CV(Conversion):獲得数
広告クリエイティブのABテストの事例
ここでは実際に弊社で行ったABテストの事例をご紹介します。
【前提情報】
・CVポイント:観光列車の乗車予約ページ遷移
・課題:「ブランチ」と「ディナー」2つのコースがあり、ブランチはすぐに予約が埋まるもののディナーの予約が埋まりずらい状況にある。
・目的:ディナーのニーズの検証・予約促進
今回は広告クリエイティブを「ブランチ訴求」と「ディナー訴求」の2パターンで作成し、ABテストを実施しました。結果は下記となりました。
ディナーの予約が埋まりずらいという課題があったものの、ABテストの結果としてはディナー訴求のクリエイティブのCTR、予約遷移率とも高い数値となり、ディナーのサービス自体にはユーザーは魅力を感じていることが分かりました。
この結果を受けて、次の改善策としては現状LP側にディナーの要素が少ない為、ファーストビュー含めディナーの要素を増やすことで更なるCVRの向上を目指しています。
まとめ
以上が広告クリエイティブのABテストの効果的な進め方でした。
ディスプレイ広告やSNS広告においてはクリエイティブによって大きくパフォーマンスが変わるので、ぜひABテストを取り入れてクリエイティブの最適化を行っていただければと存じます。
UNiDigiでは、すべての広告主様がクリエイティブ最適化を実現できるよう、各広告プラットフォームのトレンドを踏まえたクリエイティブを安価に制作できるプランを用意しております。
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