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広告運用パフォーマンスが大きく変わる?!サードパーティークッキー廃止への対応策
公開日:2024.08.30 Fri
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運用型広告のターゲティングとして長らく活用されてきたサードパーティークッキーを利用したターゲティングがいよいよ廃止に近づいています。
今回はサードパーティークッキー廃止後の広告運用の手法がどのように変わるのか、サードパーティークッキーに代わる手段としてどのようなものがあるのかを解説していきます。
そもそもサードパーティークッキーとは?
ユーザーがWEBサイトに訪問した際の行動や入力情報を一時的にブラウザに保存する仕組みを「Cookie(クッキー)」といいます。クッキーには下記2種類があり、サードパーティークッキーとは訪問したWEBサイト以外から発行されたクッキーのことを指します。
■ファーストパーティークッキー
訪問したWebサイトのドメインより発行されるクッキー
ドメインを横断したトラッキングはできないが、ユーザー情報等の詳細なデータを収集できる
■サードパーティークッキー
訪問したWebサイト以外から発行されたクッキー
ドメインを横断したトラッキングが可能
広告運用におけるサードパーティークッキー廃止の影響
運用型広告の配信において、サードパーティークッキーを活用してターゲティングや測定を行ってきました。ところが昨今の個人情報保護やプライバシーの観点から各ブラウザでサードパーティークッキーを規制する流れに進んでいます。
サードパーティークッキーが規制されると運用型広告において、主に下記のような影響が発生します。
■リマーケティング広告配信ができなくなる
リマーケティング広告とは一度サイトに訪問したユーザーに対し、再訪問を促す広告を配信する配信手法になります。特定のサイトに訪れた後、その商材の広告をよく見るようになったという経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか?
ユーザーの行動履歴や閲覧履歴を元にそのユーザーの興味があるであろう広告を配信することが出来る為、効果の高い配信手法として広く活用されてきましたが、サードパーティークッキーを活用した配信手法だった為、規制後は実施が難しくなります。
■サードパーティークッキーを利用している効果測定ができなくなる
広告の効果測定においてもサードパーティークッキーは活用されており、どの広告からのコンバージョンが多いのか等細かい分析をすることができます。ただしクッキーはブラウザに一時保存されるものなので、ブラウザをまたぐと正しく計測ができません。
サードパーティークッキー廃止のスケジュール
主要なブラウザはサードパーティークッキーの廃止を進めており、日本国内で約25%のシェアを持つ(2024年2月時点)Apple社のSafariは全面廃止をしています。
各ブラウザのサードパーティークッキー廃止の対応状況は下記です。
■Apple 「Safari」
2020年3月のアップデートで全面廃止済み
■Microsoft「Edge」
2024年3月サードパーティークッキー廃止に向けて進むことを発表
■Google「Chrome」
2025年初頭を予定していたが、廃止計画を撤回
サードパーティークッキーに代わる手段
廃止による影響が大きいサードパーティークッキーの廃止ですが、その代替え手段が次々と登場しています。
■ファーストパーティークッキーデータの活用
ファーストパーティークッキーでは前述のとおり、ユーザーのより細かな情報を取得することが可能です。各プラットフォームではこのファーストパーティークッキーを活用した広告配信の仕組みや効果測定の仕組みの提供を始めています。
■プライバシーサンドボックス
Googleではサードパーティークッキーの代替え手段としてプライバシーサンドボックスの開発を進めています。 プライバシーサンドボックスにはいくつかの技術がありますが広告に関連する技術としては下記があります。
・FLEDGE(フレッジ)
ユーザーの興味関心・Web行動履歴をもとにブラウザ上の広告の掲出オークションを行い、リマーケティング広告を実現させようとする仕組み。FLEDGEはブラウザ上で入札を行う仕組みで、クッキー情報をアドサーバーに送ることなく、ターゲティング配信が可能。
・Attribution Reporting API(アトリビューション レポーティング API)
広告クリックと広告コンバージョンを紐づけるための技術。Attribution Reporting APIはクリックIDをブラウザに保持させ、コンバージョン後に一定期間をおいてベンダーにクリックIDとコンバージョン情報を返すことができる仕組みでクリックスルーコンバージョンやアトリビューション測定、ビュースルーアトリビューション測定が可能。
■共通IDソリューション
ユーザー識別子(ID)を生成するソリューション。ユーザーのデバイスやブラウザに対し一意の識別子(ID)を割り当てることで、個人のプライバシーを尊重しながら、ユーザーのWEB上の行動や関心を把握をすることができます。
共通IDソリューションには下記2つの方式があります。
①確定ID
ユーザーから同意を得て取得したメールアドレスなどの確定データを暗号化して生成されるID。確定データを元に判別している為、精度の高いターゲティングが可能。
②推定ID
Web上で得られるユーザーの行動やIPアドレスなどから生成されるID。個人情報ではなく、訪問サイトや検索履歴などWEB上の一般的なデータを基に生成される為、大量に生成が可能な一方、確定IDに比べて制度は低い。
■コンテキストターゲティング
ユーザーが閲覧しているWEBサイトのテキストや画像情報をAI技術で解析し、関連性の高い広告を配信する手法。AI技術の発達によりブランド毀損をしない広告配信が可能です。
サードパーティークッキー廃止後の広告運用戦略
以上のように様々な代替え手段が出てきている中で、一番おさえておきたい手法としてはファーストパーティーデータの活用です。
例えばGoogleではファーストパーティーデータを取り込む拡張コンバージョンの導入を推奨しています。
また、広告配信においても各プラットフォーマーがファーストパーティーデータを活用した配信の仕組みを提供しています。
■Google
①拡張コンバージョン
拡張コンバージョンとはGoogleが提供するCVユーザーのメールアドレスとGoogleのログインユーザーデータベースを照会する機能のことです。拡張コンバージョンの導入によりより正確な測定が可能になります。
導入するにあたってはユーザーの個人情報をGoogle側に渡す為、個人情報取扱いの社内規定の見直しやポリシーの見直しが必要な場合があります。
参考:拡張コンバージョンについて(Google公式)
②PMAXキャンペーン
PMAXキャンペーンはGoogle広告の機械学習を最も活用するキャンペーンです。1つのキャンペーンでGoogle広告で配信できる全ての配信面に配信することが可能です。キャンペーンを一元化することで人では判断ができない圧倒的なデータをGoogleの機械学習で判別し最適な面に最適な広告を表示させることができます。
ただ、検索広告など他のキャンペーンと並走させる場合、予め除外設定をしておかないと配信が重複してPMAX以外のキャンペーンのパフォーマンスが落ちる場合があるので注意が必要です。(2024年5月時点、PMAXキャンペーンに対し除外KWを設定するにはGoogleの営業担当に依頼する必要があります。)
参考:P-MAX キャンペーンについて(Google公式)
■Meta
①コンバージョンAPI
コンバージョンAPIとはクッキーに依存せずにイベントなどの測定ができる機能のことです。クライアントサーバーなどを介して、Metaに接続してイベントデータを送信します。コンバージョンAPIの測定データとMetaの持つデータをマッチングすることができ取りこぼしなく測定が可能です。
参考:コンバージョンAPIについて(Meta公式)
②カスタムオーディエンス
カスタムオーディエンスとは、自社で所有している顧客の電話番号やメールアドレスといったファーストパーティーデータをMeta広告の管理画面にアップロードすることで、Meta内のユーザーデータとマッチングさせる機能のことです。
識別情報には、電話番号やメールアドレス以外にも、国や都道府県、郵便番号といった地域関連のものから、性別や生年月日といった個人情報も含まれます。
参考:カスタムオーディエンスについて(Meta公式)
■LINE
①カスタマーマッチ
Meta広告のカスタムオーディエンスと同様の機能で、自社で所有している顧客の電話番号やメールアドレスをLINE広告の管理画面にアップロードすることでターゲティングに活用できる機能のことです。
識別情報として利用できるデータは電話番号、メールアドレス、IDFA/AAIDデータとなります。
参考:オーディエンスを使って配信する(LINEヤフー公式)
まとめ
以上のようにファーストパーティーデータを保有していれば精度の高い広告配信や測定が可能になる仕組みが各プラットフォームで整っています。
サードパーティークッキー規制後の広告運用戦略においてはいかにファーストパーティーデータを取得できる座組を整えるかが非常に重要です。
UNiDigiでは、各プラットフォームの傾向を踏まえ、ポストクッキー時代においても成果につながる広告運用をさせていただいております。広告出稿をお考えの方や現在の運用に課題感をお持ちの方は、お気軽にご相談くださいませ。